さすらい【岡山】

昨日は、日本一周再出発をした日で、
新たに追加したギターを背負うことがとても邪魔に思ったり、
バッティングセンターに立ち寄って2ゲームしたら息が切れたり、
そして岡山県北に住んでいるまさやという友達と遊んだ。
そんな1日だった。

 

今日は、友達のまさやの家からスタートだ。
きのうは0時頃まで宴会していた。
スーパーや、近くの中華料理屋で買った野菜炒めと麻婆豆腐などをあてにして、
おいしいビールを飲んでいた。
朝起きたのは7時頃で、よく寝ることができた。
今日はまさやが岡山県北を案内してくれるというので、
まさやの車に乗ってドライブにいくことにした。
まずは、足尾滝というところに連れて行ってもらった。

 

滝に着くとおじちゃん、おばちゃんたちが落ち葉の清掃をしていて、
賑やかにしていた。
おばちゃんたちは軽トラの荷台にたくさん乗って帰って行った。

 

まさやと滝を眺める。
寒いくらいに涼しい。
まさやは夏の季節になるとここをよく訪れるらしい。
それほど大きくはない滝だが、風情はある。
それに掃除もされているから、気持ちの良いところだな、そう感じた。

 

滝に近づいて撮ってみた。
水しぶきが顔にかかって、冷たい。
夢中で写真を撮っていると、
写真の楽しさにも気づいてくる。
自転車旅だけど、自転車、写真、音楽、たくさんの楽しみがあっていいね。
荷物が多くなるのは嫌だけれども、
その分楽しみも増えるのかもしれない。

 

そうして僕たちは滝を後にする。
朝から滝を眺めに行く。
うーん、悪くない。
日曜日の朝は、穏やかに過ぎて行く。
次は、勝山町並み保存地区というところに連れて行ってくれるらしい。

その場所は「のれんの街」と言われているそうで、
いたるところにのれんがかかっているとか。

 

勝山に着いた。
古い町並みが続いている。
倉敷美観地区もこんな感じだが、
ここは観光客があまりいないようだった。
それは、ゆっくりと散策ができるということでもあるので、
歓迎されるものだった。

 

家やお店の前に、小粋なのれんがかかっている。
のれんがかかっていないところもあるが、
のれんをかける場所はどこの建物にも見受けられた。
のれんは様々あったが、どれも洒落ているもので、
町並みをオシャレに引き立たせていた。

 

これはたまに見かけるカンカンのアート作品?だ。
カンカンに切り込みを多数入れて、風を受けて回転するように作られたものだ。
ここのは精緻なつくりになっていて、
風を受けたカンカンはくるくると回っていた。

 

風にたなびくのれんのある町並みは、素敵なものだった。
私は岡山県民だけど、まだまだ地元でも知らないところがあるんだなぁと思った。
日本をまわるといっても、ほんの少ししか、日本を知ることはできなさそうだ。
それくらい、魅力のある街があるはずだから。
時々、こんな観光もしてみて、その街を感じる旅にしてみてもいいかな、
そう思った。

 

 

そのあとは、まさやの家に戻って荷物を自転車に積み込み、お別れの時間だ。
まさやは言った。

 

 

まさや「ギターじゃまそうやなぁ」
ぼく「じゃまなんよ」
まさや「ハードオフに売りに行く姿が容易に想像できるわ」
ぼく「焚き火で燃やそうかと思ったことはあるけどな」
まさや「そういやそうくん、つっかけで来たんじゃな。靴は?」
ぼく「これだけしかないよ」
まさや「靴を買いに行く姿が容易に想像できるわ」
ぼく「そうか?そういや昨日、中学校の前で信号待ちしてたら、女子集団がおってな、僕を見てこう言っとったんよ、、、」

 

 

女子A「なにあれ?」
女子B「さすらい?」
女子集団「さすらいwww」

 

 

ぼく「僕、さすらいらしんよ」
まさや「さすらいわらわらwみてーな?まぁ、そうじゃなあそんな感じ、するよ。遺言を聞いといてやるけど、なんかない?」
ぼく「帰って来たら、また昨日のピザ屋に行きたいな」
まさや「そうか!OK,行こう行こう!じゃ、気ぃつけてな」
ぼく「言ってくるわ!ありがとう」

 

 

 

そう言って、再び旅立って行く。
昨日まさやに教えてもらった道を走り、
鏡野へと抜けて行く。
上り坂は、やはりきつい。
でも、そのために荷物の軽量化を行ったし、
タイヤは四国一周をした時よりもひと回り細くて、より高圧に対応するタイヤに交換したから、
タイヤの転がり抵抗が減っていてパワーのロスが少なくなっている。
荷物の軽量化と転がり抵抗の軽減、あと若干体重も軽くなったから、
以前よりも上り坂を上がれるようになっている。
問題に対する改善が、功を奏しているのがはっきりと実感できる。
それは嬉しいものだった。
少ない力で楽に走っていける。
それは、自転車で走る喜びをより感じることができるのだ。
もっと、考えて行こう。
その度改善していく。仕事と同じ考え方だな。

 

 

鏡野まで自転車を漕いだら、温泉に寄ることにした。
ここは温泉博士という雑誌に付いている付録に掲載されている温泉で、
雑誌を提示すると入浴料が無料になるのだ。
これで節約もできる。
風呂上がりにジュースを飲んでも、安いものだ。
駐輪場に自転車を停めて、背負っていたギターを降ろす。
背中は汗ビッショリ。
絞れば汗がしたたりそうなほどだ。
ギターを背負っていると、どうしても背中に汗をかいてしまう。
ほんとに、やっかいな荷物だ。
その分楽しまなくちゃ、ただの荷物でしかない。
ひまを見つけては弾くことにしよう。
練習もしないといけないし。
あぁー、やっぱり、弾かないときは大変な荷物だ。
分かりきったことでも、やってみると身を持って実感する。
これも、勉強のうち。
遠回りをして正解にたどり着くのも悪くはない。
同じ結論でも、遠回りをしたぶん深みが出るのだ。
野球選手のイチローがそう言っていたから私はそれを信じている。

 

 

風呂から上がったら、再び走り出す。
日も暮れて来たので、寝床を探しながら走って行く。
夕暮れ時になって、人気のないサイクリングロードをひた走っていた。
人気がなかったので私はギターを取り出して、弾いてみた。
外で弾くのは恥ずかしいけど気持ちいい。
恥ずかしいのは、上手じゃないからだろう。
それでもいいのだ。
こうしてたまには弾かないと、持ってきた意味ないもんな。

 

 

ギターで遊んでいると、夕日は沈み、暗くなってきた。
野宿場所を求めて走り出す。
そして私は暗い夜の帳の中へ。
道中見つけたスーパーに立ち寄って、
今日の晩御飯と明日の朝ごはんを買った。
20;00閉店で19;30に行ったから、半額弁当があるだろうという目論見であったが、
それはずばり的中した。
ほくほく顔で外に出て、川沿いを走っていた。
すると一瞬闇夜に光るものがあった。

 

 

「蛍だ」

 

 

蛍が愛のダンスを踊っていた。
私はしばし見とれていた。
場所的にもいいし、今日はここで寝よう。
幸い、完全に暗くなるまでには少しの猶予が残されていた。
急いでテントを設営し、テントにもぐりこんだ。
ギターもテントの中に入れておこう。
しっかし、ギターはテントの中でも邪魔な存在だ。
ギターの寝るスペースのために、自分の寝るスペースがより狭くなってしまった。
ギターを抱いて寝ればいいのか?

 

今日は、蛍の見える場所で眠る。
蛍は命を燃やして、生きているのだ。
私も頑張ろう。

 

 

◆Next

 








 



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